雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
雪の水力輸送に関する研究
第5報直管における圧力損失に対する諸因子の影響
白樫 正高佐藤 靖仁古塩 淳梅村 晃由脇屋 正一
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 46 巻 4 号 p. 171-178

詳細
抄録

雪水二相流の直円管内流れにおける圧力損失 (水力勾配i) のと流速Umの関係に対する, 管径D, 流れの方向, 雪の分率C (吐出される雪水混合体に占める雪の体積割合) および雪質の影響を実験的に調べた.
清水 (せいすい) の水力勾配をiwとするとき, 雪の混入による水力勾配の増加率 (i-iw) /iwは, 水平管の場合, 管壁での摩擦力の増加によりCに比例して増加した.鉛直管の場合 (i-iw) /iwは, 見かけの密度の変化により, 上昇流ではCに比例して減少し, 下降流ではCに比例して増加した.いずれの場合も, Umが大きくなると雪の混入の影響は小さくなりiiwとなった.
水力勾配に対する雪質の影響は小さく, 水平管の場合に, C=9~15%, 16<Fr<80 (フルード数FrUm2/ (|1-s|gD), sは氷と水の密度比) の範囲で, 新雪の方がざらめ雪よりもやや大きな水力勾配を与える傾向が見られる程度であった.雪の混入による水力勾配の変化を, 付加圧力損失係数φ= (i-iw) / (Ciw) で表すとき, φはUm, C, D, 雪質によらずフルード数Frのみの関数となる事が示され, これに対し次式が提案された.水平管 : φ=23Fr-0.85;鉛直管 : φ=〓 (2/λw) Fr-1 (-;上昇流, +;下降流, λwは清水の管摩擦係数).

著者関連情報
© 公益社団法人 日本雪氷学会
前の記事 次の記事
feedback
Top