1990 年 52 巻 4 号 p. 259-266
いわゆる雪の水力輸送技術は, 市街地での除排雪, 貯雪ダムへの雪の輸送のほか, 冷熱輸送における氷の輸送手段としても期待されている.この方法を実施するにあたり二つの課題がある.一つは輸送する雪水混合体の中の雪の濃度をできるだけ高く保ち輸送効率を高めることであり, もう一つは装置内部での閉塞を回避して安定した輸送を実現することである.これらのややもすれば相反する二つの課題を同時に解決するため, 我々は雪の濃度いわゆる雪分率を制御する技術を研究している.この制御のために開発した要素機器のうち, 雪の濃度を検出する雪分率計および雪分率を高める雪分率調整器について述べる.次に室内に設置した試験装置で行った雪分率制御の試験結果について述べる.制御はいわゆるプロセス制御に属することから市販のPID指示調節計を利用した.ざらめ雪で試験を行った結果, 設定した目標値 (雪分率45%) にまで濃縮した安定した状態で継続して輸送できることが確かめられた.