雪氷
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雪氷面におけるアルベドのパラメーター化―レビュー
張 寅生大畑 哲夫
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2003 年 65 巻 1 号 p. 33-51

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抄録
雪氷面のアルベドのパラメーター化について,理論的背景も含めてレビューした.波長別積雪アルベドの理論的研究は,個々の積雪粒子による散乱と積雪層内の多重散乱の考慮,日射の双方向反射分布関数の導入ならびに不規則な積雪粒子形状のパラメーター化によって大きく進歩した.
理論的研究による結果は,波長別積雪アルベドを支配する要素を明らかにするのに役に立つ.波長別積雪アルベドを支配する要素は2つに分類することができる.すなわち,積雪の物理的性質と外的な要素である.前者は積雪粒子による散乱や多重散乱に関係し,後者には大気状態や太陽天頂角がある.積雪のアルベドを支配する最も重要な要素は,積雪粒子の粒径,不純物,積雪深ならびに太陽天頂角である.
雪氷面でのアルベドを推定する方法は,主に雪氷面の熱収支や積雪の変化をモニターするために必要なものとして考案されてきた.アルベドの経験的,半経験的な式の多くは,積雪粒子の粒径などの独立変数より,むしろ観測の容易な積雪密度や気温などの従属変数を用いている.
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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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