雪氷
Online ISSN : 1883-6267
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火星の気候進化における氷床の役割
倉橋 貴純田近 英一Takasumi KURAHASHI-NAKAMURA
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2005 年 67 巻 2 号 p. 133-145

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抄録
火星には極冠と呼ばれる雪氷が存在する.なかでも,永久極冠は地球の氷床と類似した構造物であり,二酸化炭素(CO2)と水の氷から形成されていると考えられている.本研究では,気候システムモデルを用いて,火星における過去の温暖な気候から現在の寒冷な気候への進化を議論した.その結果,CO2氷からなる永久極冠が気候進化に非常に重要な役割を果たすことがわかった.永久極冠は,気候システムのエネルギー収支とCO2収支を強く制約する.温暖環境下でのシステムの不安定化によって高圧CO2大気は暴走凝結を起こし,巨大なCO2極冠が形成される.しかし,そのような巨大なCO2極冠は底部で融解する可能性が高い.その場合,気体もしくは液体のCO2が地殻中の間隙を通じて輸送され,地下に隔離された可能性が考えられる.地下に輸送されたCO2は,クラスレート・ハイドレート,炭酸塩鉱物,もしくは自由気体(液体)として,現在も地下に残っている可能性が高い.
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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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