雪氷
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青年男子のショベル除雪時の呼吸循環応答および作業成績
森田 勲山口 明彦吉成 哲林 昌宏須田 力
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2006 年 68 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

本研究の目的は, ショベル除雪時の呼吸循環系応答と作業成績の関係を明らかにすることである. 7名の健康な青年男子 (20-27歳,平均21歳) が, 低強度 (RPEで11,「楽である」), 中強度 (13,「ややきつい」) および高強度 (15,「きつい」) の3段階を目安にしたショベル除雪をそれぞれ5分間ずつ実施した. 各被験者に, 重量1.1kg,長さ0.76mの除雪ショベルを用いて深さ0.30~0.45m,幅1m, 密度300~400kg/m3の雪を掬って投げる作業を課した. 測定した指標は, 心拍数, 酸素摂取量, 主観的作業強度 (RPE) および作業指標としてショベリング頻度 (scoops/min), ショベル負荷(一掬い当りの雪の重量, kg)および作業成績 (毎分当りに投雪された重量, kg/min) であった. 高強度の段階では, 酸素摂取量は7.6±0.5Metsで最大酸素摂取量の62±3%に相当し,心拍数は169±6拍/minで最大心拍数の93±3%に相当する値であった.また,このときのRPEは16±0.5, ショベリング頻度は19±1.4scoops/min, ショベル負荷は3.7±0.3kg, 作業成績は70±6kg/minであった. 作業成績と作業中の酸素摂取量との間に, 正の有意な相関 (r=0.718, p<0.001) が認められたものの, この関係は作業者の技術や作業姿勢によって変動すると思われた. 低強度から高強度までの酸素摂取量の増加 (4.3から7.6Metsで77%増加) に対し, 作業成績の増加 (22から70kg/minで218%増加) が拡大することから, 呼吸循環機能はショベル除雪の重要な決定因子であると結論する.

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