雪氷
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日本の積雪地域の月平年値における積雪・気温・降水量間の関係
石坂 雅昭
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キーワード: 気候, 積雪深, 気温, 降水量, 平年値
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2007 年 69 巻 5 号 p. 591-599

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抄録

筆者は先に日本の積雪地域の月平年値(1,2月平均)に関して,月最深積雪,月平均気温,月降水量間の関係を検討し,温暖積雪地域である「湿り雪地域」(1月の月平均気温が0.3℃以上の積雪地域)の月最深積雪には月平均気温および月降水量で決まる上限があることを示し,その目安となる式を提案した.ここでは,上記の上限が成立し得る範囲を含め,より寒冷な積雪地域を含んだ日本の積雪地域全体の中でのこれら三要素間の関係を検討した.
その結果,月平均気温に対する月最深積雪の月降水量に対する比は,地点毎にばらつきながらも全体的には寒冷な地域になればなるほど大きくなること,0℃より温暖な地域で成り立つ上限については,それより寒冷なおよそ-1℃までの範囲では,上限を若干上回る多雪地域の地点が存在すること,さらに寒い地域では,大幅に上回る地点が相当数出現し,同じ上限の式を使用することができないことなどがわかった.また,上限と同様,月平均気温と月降水量で決まる月最深積雪の下限が存在することがわかり,その目安となる式を提案した.
そして,上限の式からは,一定の月最深積雪を上回るのに必要な最小の月降水量が,また下限からは,寒冷地域でしもざらめ雪が発達するために,それを上回ってはいけない月降水量の最大値がそれぞれ気温に応じて決まることなどを示し,上下限によって積雪地域の特徴の一端を知り得ることを示した.

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