大気中に存在する環境汚染物質の物理的存在形態を明らかにすることを目的に,大気汚染の深刻な地域である中国四川省成都市において大気の採取を2通り(粒子除去用フィルターの有無)行い,水溶性イオン成分の測定を行った.その結果,F-は粒子態として, Cl-はガス態として大気中に存在していた.NO3-は主に粒子態として大気中に存在していた. NO2-は夜間に濃度が高くなるのに対し,NO3-は日中に濃度が高くなる傾向であった. Sは定常的にSO2として大気中に存在しており,日中の人為起源排出量が増加する時間帯に,粒子態の濃度が増加していた.NO3-およびSO42-の大気中での時間変動は,前駆物質を含む大気中への排出量だけでなく,大気中での様々な化学反応に支配されていた事が示唆された.