環境科学会誌
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一般論文
土地利用モデルを用いた東京都市圏の土地利用シナリオ分析
山形 与志樹瀬谷 創中道 久美子
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2011 年 24 巻 3 号 p. 169-179

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抄録
2010年現在において,東京は世界最大の都市圏であり,東京都市圏における将来の人口・土地利用分布のシナリオを分析することが,広域的な温暖化対策(緩和と適応)の観点から非常に重要となっている。本研究では,人口・土地利用の変化をミクロ経済学的基礎に基づいて推定する土地利用モデルを構築し,東京都市圏における将来の人口・土地利用に関するシナリオ分析を実施した。通常,都市圏を対象とした土地利用モデルは,市区町村,あるいはそれ以上の領域が構築単位とされることが多いが,本研究では,都市圏全域の町丁目を構築単位としている点に特徴を有する。これによって,例えば鉄道駅付近の容積率緩和施策等,従来扱うことが難しかった地域レベルの都市施策の評価が可能になり,また,人口密度・人工排熱等の都市気候モデルのための空間詳細な入力変数の算出が可能になった。特に本研究では,地域気候モデラーからの要請が大きい,IPCCの上限・下限シナリオに対応するような,将来の土地利用の最大限の幅を示すシナリオとして,コンパクトシティ等の低炭素都市化を最大限に推し進めた『集約シナリオ』と,自動車依存により都市圏縁辺部への郊外化を最大限に推し進めた『分散シナリオ』の2つの土地利用シナリオを構築した結果について報告する。
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© 2011 社団法人 環境科学会
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