本報告は，松江工業高等専門学校が中心となり実施した『持続可能な環境社会を担うエンジニア育成のための体験型教育プロジェクト』の取組の一部を取り纏めたものである。このプロジェクトは，国立高等専門学校間の全国にわたる大きなネットワークを活用しその成果を全国的に展開すること，そして，学生の環境に対する意識を向上させると共に実践的知識を付与し，高度な環境教育を実施することを目的としている。
本論文では，最初にプログラムの取組の柱である「高専環境会議」及び「環境産業体験」について述べる。高専環境会議は全国の高専での環境教育の取組事例等を情報交換し，相互にレベルアップを図ることを目的としている。各高専で行っている環境技術開発型研究の発表や，環境問題に関連する基調講演を実施した。また，環境産業体験は体験型環境教育の一つであり，水質浄化や資源のリサイクルなど，島根県の地域の特色を活用した様々な取り組みを学習するものであった。これらの実施報告の後に，プロジェクトの中で行ったアンケートを紹介し，本取組の効果について考察・検討を加えた。
アンケートの結果，高専環境会議・環境産業体験に参加したことで，参加者が「持続可能な社会のためにエンジニアが担うべき役割」について考え，さらに深い知見を得ていることがわかった。
