環境科学会誌
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一般論文
産廃税・建設リサイクル施策の最終処分削減複合効果の分析
後藤 正樹
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2015 年 28 巻 3 号 p. 211-229

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抄録

建設業の産業廃棄物(以下,産廃)について,課税方式別産業廃棄物税(以下,産廃税)導入と国の建設業界の産廃品目の最終処分量削減に関する施策(以下,建設リサイクル施策)導入による最終処分量削減の複合効果分析を行った。分析にあたり,建設副産物実態調査の産廃品目別排出量及び最終処分量データを用い,パネルデータ分析を行った。まず,産廃品目で産廃税が単独で有意な削減効果が起こるか否かを分析した。次に,産廃税の削減効果が確認された産廃品目について,建設リサイクル施策が単独で有意な削減効果が起こるか否かを分析した。最後に,産廃税と建設リサイクル施策共に単独で有意な削減効果が得られた産廃品目について,産廃税と建設リサイクル施策導入による最終処分量削減の効果分析を行った。その結果,建設発生木材では最終処分業者特別徴収方式(以下,方式B),焼却処分・最終処分業者特別徴収方式(以下,方式C)で有意な削減効果が確認された。一方,建設汚泥,建設混合廃棄物,その他の3産廃品目では,産廃税導入による有意な削減効果は確認することができなかった。次に,建設発生木材について建設リサイクル施策導入による削減効果を確認した結果,有意な削減効果が得られた。そこで,建設発生木材の最終処分量を目的変数に,排出量,課税方式別産廃税導入ダミー変数,建設リサイクル施策導入ダミー変数を説明変数に設定し,パネルデータ分析を行った。その結果,方式B又は方式Cの各産廃税と建設リサイクル施策の複合効果により,方式B又は方式Cの産廃税未導入都道府県より多くの削減効果が確認された。また,近年の建設発生木材の排出量の減少が最終処分量の減少に影響していることも確認された。

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© 2015 社団法人 環境科学会
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