持続可能な発展(SD)に向けた取組の実践・進展が期待されるなか,持続可能な調達に係る基準設定の作業が民間ベースで進められ,近年ではISOでの国際標準化も進められている。しかしながら,持続可能性についての具体的な基準についてはISO基準ではまだ検討されておらず,どのような基準を設定すべきかの知見の集積が求められる。本報では,25の持続可能性に係る認証制度や取組・活動における基準を調査し,その整理を行った。その結果,持続可能性に関する基準は,環境面の持続可能性の確保に関する基準群,社会・経済面の発展ニーズの充足に関する基準群,制度面の確立に関する基準群の3つに大別することができた。環境面の基準群では,DalyのSDの三原則に合致する基準よりも,自然環境・生態系の保全に関する基準と効率的な資源利用あるいは環境負荷の低減に関する基準が数多く設定されていた。第二の社会・経済面の基準群では,基本的ニーズの充足に関する基準とより高度なニーズの充足に関する基準が設定されていたが,後者については関係者との協議や情報公開に関する基準が中心であった。第三の制度面の基準群では,コントローラビリティを高める基準として計画策定,取組状況のモニタリング・評価,担当部署の設置やシステム構築,全般的な管理能力・意識の向上に関した基準が設定されるとともに,予防・未然防止の視点を含む基準や法令遵守に関する基準が比較的多く設定されていた。これらは,持続可能な調達やSDに向けた取組においても考慮されるべきものであり,日本において看過されている基準についてはその導入検討が期待される。