環境科学会誌
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2015年シンポジウム
家庭における直接・間接CO2推計に基づく低炭素型ライフスタイルの検討
平野 勇二郎井原 智彦戸川 卓哉五味 馨奥岡 桂次郎小林 元
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2017 年 30 巻 4 号 p. 261-273

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抄録

低炭素社会を実現するために大量生産・大量消費社会における浪費型ライフスタイルから低炭素型ライフスタイルへの転換が喫緊の課題となっている。これまでにもエネルギー消費やCO2排出の人間行動要因については数多くの研究が行われてきたが,従前の研究の多くは例えば空調や給湯などの消費者による直接エネルギー消費に着目したものであった。実際には民生部門や運輸部門のCO2排出と比較して産業部門のCO2排出は非常に多いため,今後は消費者側から製品やサービスの消費に伴うCO2排出量を削減することを検討する必要がある。そのための基礎研究として,本研究では家計調査や全国消費実態調査,産業連関表といった統計資料から,消費者のエネルギー消費による直接CO2排出量と,製品やサービスの消費により誘発される間接CO2排出量を推計した。この結果,直接CO2排出も一定の割合を占めており,当然ながら省エネルギーも依然として重要課題であるが,間接CO2排出は直接CO2排出をさらに上回っていることが明らかになった。したがって,例えば食事形態や移動手段など,製品やサービスの消費についてもCO2排出が少ない手段を選択することが有効なCO2排出になり得る。次に,直接・間接CO2排出量を世帯属性別に比較し,世帯属性によりCO2排出量は大きく異なっているという結果を得た。ただし,この推計では年齢や世帯人員数などの個々人のライフステージに伴う要因とライフスタイルによる要因とを区別することが難しいため,今後,個々の生活行動とCO2排出量との関係についてより詳細に検討する必要がある。

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