2018 年 31 巻 5 号 p. 217-226
本研究では,冷蔵庫と洗濯機の購入を予定している消費者を対象に,アンケート調査とインタビュー調査を通して,環境情報の表示が家電製品(テレビおよび冷蔵庫)の購入に及ぼす効果について分析した。特に,本研究は,消費者の製品購入の意思決定段階を考慮した環境情報の表示の方向性に着目した。まず,アンケート調査の結果からは,消費者が家電製品についてサイズ・容量や価格とともに,消費電力や省エネ機能といった環境に関連する製品情報も重視していることが示唆された。次に,インタビュー調査の結果からは,環境情報が購入に向けた意思決定の全段階を通して重視または意識されているわけではないこと,そして,環境情報を取得する情報源も被験者によって異なることが明らかになった。消費者の製品購入に関わる意思決定段階ごとにおいて効果的な環境情報の内容と情報源を特定することで,より実効性のある環境情報提供が可能になるものと考えられる。以上の結果をもとに,消費者の購入意思決定段階と情報収集の流れに着目した環境情報表示のフレームワークを提案した。