環境科学会誌
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特集論文
メッシュデータを用いた流域環境解析—土地利用と水需給に着目して—
山下 亜紀郎
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2019 年 32 巻 2 号 p. 36-45

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抄録

本稿では,日本の一級水系109流域をすべて対象にして,いくつかのメッシュデータを流域単位で再集計した流域環境データベースを作成する。そして,それに基づいて流域の土地利用特性や水需給特性とそれらの時系列的変化について分析することで,日本の主要流域の地域性を比較考察する。その際,本稿が対象とするデータの年次は,水需要減少期に入った1990年代から2010年代の約20年間とする。

各土地利用項目の面積率から109流域を類型区分すると,1990年代から2010年代にかけて13流域で類型が変化しており,その変化パターンには各流域それぞれの土地利用変化を反映した多様性が確認できる。

109流域全体としての水需要は,1990年代から2010年代の約20年間で農水も上水も減少しているものの,個々の流域ごとにみると増加している流域もある。それらのうち農水需要が増加しているのは,いずれも東日本の流域であり,農地面積の増加ではなく単位面積当たりの農業用水量の増加が要因として寄与している。一方で,上水需要が増加しているのは,北海道,東北,中国,四国地方の主要な都市部を含む流域であり,各地方において,もともと需要の大きい都市部でさらに需要が増え,もともと小さいそれらの周辺地域でさらに減っている傾向が読み取れる。

流域の水需給比に関しては,その値に流域間で大きな差異がある。水需給における地域格差がある中で,均一で安定した水供給を実現するには,水需給の逼迫した流域と水資源に余裕のある流域とが,広域的に連携し水を融通し合うのが一つの方策であるが一方で,流域内部における水利用の効率化や合理化もまた同時に重要である。

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