環境科学会誌
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一般論文
超学際研究における専門分野間の「隠れたフレーミング」の外在化—Visual Problem Appraisalを使用して—
紀平 真理子
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2026 年 39 巻 2 号 p. 94-103

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抄録

現代社会の複雑な環境課題の解決には超学際的アプローチが求められる。しかし,異なる専門分野間の認識の違いがその協働を困難にすることがある。本稿では,視覚的問題評価法(VPA)を用い,ワークショップで作成された関係図から,専門分野によって内在化されている「問題の見え方」の違いを可視化し,「隠れたフレーミング」を外在化することを目的とした。デザイン,政策,理学の異なる専門分野の学生によって作成された関係図を視覚的フレーミング理論に基づき,分野間で着目するアクターの差異を定量的に検証するとともに,アクターの配置や関係性の表現を定性的に分析した。その結果,デザイン分野は「ステークホルダーの主観」への着目に特徴が見られ,政策分野は「環境変化」に着目し,相互関係を描きながら介入ポイントを探索し,理学分野は「事実」を重視する単線的な因果関係型の問題認識を示した。VPAワークショップは,専門分野に基づく問題の「見え方の違い」を可視化する有効な方法論であることを実証し,超学際研究において,異なる「見え方」の相互理解を促進する新たなアプローチの可能性を示した。

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