2026 年 39 巻 2 号 p. 104-116
Aurantiochytrium属は,ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸(PUFAs),およびペンタデカン酸(PDA)やヘプタデカン酸(HDA)などの奇数鎖脂肪酸(OCFAs)を多く生産することから,注目を集めてきた。本研究では,Aurantiochytrium属の新規分離株(9LR株,10W株,10LW株)の3株を,さまざまな温度,塩分濃度,pH条件下で培養した。すべての株は,温度(10~35°C),塩分(5~80 PSU),初期pH(3~9)の広範な条件下で増殖し,DHAおよびEPAを生産した。最も高いバイオマス,DHAおよびEPAの生産は,25°C, 20~35 PSU, pH 5~8の条件下で確認された。9LR株のDHA/EPA比は10°Cで最も高く,pH(p>0.05)および塩分(p>0.05)はこの比に影響を与えなかった。また,3株によるPDAおよびHDAの生産は,25°C, 30 PSU, pH 7の条件下で最も高くなったが,10°Cでは,これらOCFAsは生産されなかった。本研究の結果は,Aurantiochytrium属の増殖および脂肪酸組成における培養条件の重要性を示した。これらの株の広範囲のpHおよび塩分耐性は,極端な環境下において,さまざまな液体廃棄物が培養と有用な脂肪酸の生産に適用しうることを示した。