環境科学会誌
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スキー場で使用される雪面硬化剤・硫酸アンモニウム(硫安)の水・土壌・植生への影響
下平 勇毅田瀬 則雄東 照雄中村 徹川相 元斉佐藤 芳徳建元 喜寿
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2001 年 14 巻 3 号 p. 261-268

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抄録
 スキー場において競技スキーを行なう際に,雪面硬化剤として硫酸アンモニウム(硫安)が散布使用される。硫安の大量散布には,植生変化,水質汚染,土壌の酸性化などの影響が懸念されることから,雪面に散布された硫安の挙動と積雪,土壌,水および植生に対し与えている影響について調査した。散布された硫安は,融雪水中に非常に高い濃度で含まれ,速やかに積雪中から流出し,流出先の環境に一時的に強いインパクトを与えることが懸念された。しかし,硫安は土壌を経由した際に,土壌中に吸着され,水系への急激な影響は緩和されていた。多くの硫安は消雪後まで土壌中に吸着・保持され,雪解け後の植生への影響や,土壌水中のNO3-濃度の増加に伴い地下水などの硝酸性窒素汚染,土壌pHの低下などが懸念された。
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