環境科学会誌
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ベトナムにおける食料生産と窒素フロー
小島 千穂川島 博之新藤 純子岡本 勝男戸田 任重茅原 一之
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2004 年 17 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
 ドイモイ政策以後,ベトナムにおける食料生産は急速に増大している。これに伴い窒素肥料使用量も急増している。ベトナムは東南アジアにおいて,唯一多投入型農業が行われている国となった。ハノイ周辺などでは,水質悪化が観測され始めているが,この傾向は今後拡大しよう。数理モデルを用い人口の増加と食料生産量の増大が水質に及ぼす影響を検討したが,2030年において山岳地帯を除くほとんどの地域で窒素汚染が発生し,特に中央直轄市周辺,メコン川デルタ,Red Riverデルタでは,深刻化することが予測された。これまでベトナムでは食料の増産に力点が置かれてきたが,今後は物質循環と調和した社会を構築する必要がある。このためには,人口の分散と共に,畜産振興の是非,また米輸出促進政策の見直しなどを議論する必要がある。
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