抄録
デポジット制度が導入されると,購入時にデポジット分だけ対象製品の価格が上昇し,需要が減少するのではないかという議論がしばしば見られる。一方,デポジット制度は使用済み製品の回収を促すことから,回収の容易な製品への代替が生じる可能性もある。本稿では,これらの点について,アメリカにおけるビール消費量の容器別,州別データを用いて,デポジット制度が需要の減少に有意な影響を及しているか否かについて実証分析を行うことで検証した。その結果,1)デポジット制度は制度の対象となった財の需要を減らす,2)回収の容易な財へのシフトをもたらす,3)飲食店などの大口需要者の財の需要には影響を与えるとはいえないという示唆を得た。