環境科学会誌
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プロジェクト型京都メカニズムのコスト分析
前田 章
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2006 年 19 巻 5 号 p. 397-414

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抄録
 本研究ではUNFCCC事務局が公表しているAIJプロジェクトデータをプロジェクト規模とコストの面から分析した。詳細な統計分析を通して次の点が明らかになった。1)ボイラーバイオ燃料転換プロジェクトにおいては,全プロジェクト期間に渡る総プロジェクトコストはCO2削減可能量および削減期間の長さと正の相関が認、められる。2)エネルギー効率改善プロジェクトでは,総プロジェクトコストとCO2削減量との相関関係は認められるが,削減期間との相関関係は認められない。3)地域熱供給プロジェクトの場合は,このような相関関係は全く認められない。4)取引コストを構成する要素のうち,「テクニカルアシスタンスコスト」がプロジェクトの大きさに依存する可能性がある。こうした結果は,今後のCDMやJIの費用対効果を考える上で貴重な情報となろう。
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