抄録
油汚染土が問題となるのは,土壌汚染対策法の規制の対象となるベンゼンによる健康リスクと,油臭,油膜などの生活環境上支障となるリスクとがある。油分もガソリン,灯油,軽油,重油,タールとさまざまな種類があり,その対策も種々の方法がとられる。油は自然由来のものであるため,土壌に一般的に生息する微生物群によって生分解することができる。このため,これらの微生物群を活性化することにより浄化をはかるバイオレメディエーションが低コストで効率のよい方法となる。バイオレメディエーションを日本で適用するためには,市街地での建物の下の浄化や,粘性土の汚染の浄化,微生物の活性が下がる冬季や寒冷地でのバイオ処理が必要となる。これらの課題に対処する新しいバイオ処理として,バイオスパージング工法,高圧空気注入法,特殊な資材を利用した温度管理型バイオパイル工法がある。