環境科学会誌
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九州大学の大学院改革と人間環境学府における教育
新谷 恭明
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2008 年 21 巻 3 号 p. 223-230

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抄録
 九州大学人間環境学科は新キャンパスへの移転に伴う大学改革の構想の中から教育学部,工学部建築学科,文学部人間科学科及び健康科学センターの一部(協力講座)として1998年に設立された。文系と工学系から構成される文理横断型の大学院として全国に先駆ける存在であった。組織は人間環境学の基礎分野を担当する行動システム専攻(心理学,健康科学),発達・社会システム専攻(教育学,社会学),空間システム専攻(建築計画学,建築環境学,建築構造学)を周辺に置き,それらの学際領域として都市共生デザイン専攻(アーバンデザイン学,都市災害管理学),人間共生システム専攻(心理臨床学,共生社会システム学)の2学際専攻を置いた。2000年度から学府・研究院制度が採用されたために教育学部が人間環境学府となり,協力講座という存在もなくなったし,学府教育は時流に合わせた改革がしやすくなった。学際的大学院として独自の教育として共通講座「人間環境学」,人間環境学コロキウムがある。また,学際的研究を促進する学生支援事業として学府長賞の授与,学位取得に向けての研究支援,萌芽的学際研究支援などの事業がある。しかし,学際化がなかなか進まないという指摘もあり,これらの見直しをはかっているとともに,学際化に向けての組織的な改革を進めている。ひとつは言語文化研究院の教員を人間環境学府のスタッフとして迎え入れて新講座を設け,国際社会開発プログラムを新設する。また,21世紀COEの出口として持続都市建築システムプログラム(修士)・コース(博士)の開設も準備が整っているし,二つの学際専攻の再編も検討を進めている。
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