2024 年 113 巻 2 号 p. 262-268
57歳,男性.原因不明の肺胞出血の精査中に腹痛と食道胃粘膜の肥厚,食道胃壁外の多発液体貯留,既知の膵囊胞の増大を認めた.気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar Lavage Fluid:BALF)の検体で膵酵素を測定したところ異常高値を示した.肺胞出血の原因は縦隔内膵仮性囊胞と気管支の瘻孔形成であると考えられた.胃体部後壁の囊胞に対する超音波内視鏡下ドレナージによって状態は改善した.原因不明の肺胞出血の診断にBALFの膵酵素測定が有用であった.