環境科学会誌
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リセプターモデルから計算される16成分濃度とその測定濃度との比較
田中 正宣神浦 俊一藁科 宗博宮崎 竹二鵜野 伊津志若松 伸司
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1994 年 7 巻 1 号 p. 21-34

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抄録

 15成分で構成した6発生源プロフィルを使い,Chemical Element Balance(CEB)法で求めた発生源寄与係数(CEB係数)を同一タイプのプロピレンを含む16成分からなる発生源プロフィルに適用して,道路近傍と大気モニタリングステーションでの16成分およびそれらの総濃度の算出を行った。それら総濃度と実際測定総濃度との間には若干の差(6発生源で説明されない濃度)が観察され,これに占めるベンゼン,トルエン,エチルベンゼンの比率は非常に高い値であった。これら3成分はアメリカで唯一報告されている工業廃水の発生源プロフィルを構成する芳香族炭化水素である。現在,日本では工業廃水の発生源プロフィルは提示されていないが,炭化水素へのより詳細なCEB法適用のためにはこのプロフィルの検討が必要であると考えられる。また,測定されるプロピレンの重量百分率は道路沿道では計算値のそれと大差のない値であったが,大気モニタリングステーションではそれらより非常に低い値を示した。 このことは自動車排出ガスの発生源近傍から大気モニタリングステーションに至る大気中でのプロピレンの速い消失を示唆するものと考えられる。

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