環境科学会誌
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重金属耐性菌Penicillium ochro-chloron ATCC37641中のUDP-sugarに対する培地銅濃度の影響
深見 元弘名川 誠谷 享吉村 悦郎大久保 明山崎 素直戸田 昭三
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1994 年 7 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

 重金属耐性菌Penicillium ochro-chloronATCC37641の過塩素酸抽出物中の糖ヌクレオチド含量に及ぼす培地中銅濃度の影響を調べた。銅高濃度培地培養菌体の抽出物中の全糖ヌクレオチド含量は,基本培地培養菌体のそれに対しはるかに少なかった。基本培地培養菌体の糖ヌクレオチドの主要構成成分として,UDP-N-アセチルグルコサミンとUDP-グルコースが同定されたが,銅高濃度培地培養菌体からはUDP-グルコースはほとんど見いだされず,UDP-N-アセチルグルコサミンが大部分を占めていた。細胞壁中のグルコサミン含量は,基本培地培養菌体より銅高濃度培地培養菌体の方が高かった。本菌が細胞壁に多量の銅を蓄積することを考え合わせると,キチンの前駆体であるUDP-N-アセチルグルコサミンの生産量が,他の糖ヌクレオチドほど培地中銅濃度によって影響を受けないことは,本菌の強い銅耐性と深い関係があると考えられる。

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