環境科学会誌
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分裂酵母,Schizosaccharomyces pombeのγ-グルタミルシステイニルトランスペプチダーゼにおけるCdイオンの影響
吉村 悦郎小島 正彦山崎 素直
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1996 年 9 巻 3 号 p. 411-415

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抄録
 分裂酵母s.pornbeは重金属の投与により,(γ-Glu-Cys)n-Gly(n≧2)で示されるペプチドを誘導合成する。γ-グルタミルシステイニルトランスペプチダーゼは,このペプチド合成の一つの経路であるγ-グルタミルシステンの転位反応を触媒するが,この酵素におけるCdイオンの効果を調べた。Cd濃度が0から10mMの領域ではCd濃度とともに活1生の増加が見られたが,300mM以上の領域では逆に活性が減少した。以上から本酵素には少なくとも二ヶ所のCd結合部位が存在することが示唆された。第一の結合部位はCdに対する親和性が高く活性発現に必須のものであり,ペプチド合成を制御しているものと考えられる。第二の結合部位はCdに対する親和性が低く,Cdの高濃度領域においてのみ酵素の活性発現を抑制した。
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