抄録
本研究は,有床義歯装着患者の咀嚼機能を評価する目的で,有床義歯装着患者の治療前後における咀嚼能力と咬筋筋活動を分析した.
有床義歯装着患者12名にグミゼリーを主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の咀嚼能力と咬筋筋活動を記録した.グミゼリー咀嚼後のグルコースの溶出量を血糖測定器で測定し,咀嚼能力の指標とした.咬筋筋活動について,咀嚼開始後の第5サイクルから第14サイクルまでの10サイクルのサイクルタイムと積分値を求めた.次いで,サイクルタイムの平均値と変動係数,1サイクル当りの積分値をそれぞれ算出した.得られた結果について,治療前と治療後との間で比較した.グルコースの溶出量と咬筋筋活動の積分値は,治療後のほうが治療前よりも大きく,治療前後間に有意差が認められた.サイクルタイムの平均値と変動係数は,治療後のほうが治療前よりも小さく,治療前後間に有意差が認められた.
これらのことから,有床義歯装着患者の咀嚼機能は,歯科補綴治療により改善すること,またグミゼリー咀嚼時のグルコースの溶出量の測定による咀嚼機能の評価が応用できることが示唆された.