日本顎口腔機能学会雑誌
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原著論文
筋電計サンプリングレートの違いがブラキシズムイベントの検出能に及ぼす影響
佐藤 雅介大塚 英稔飯塚 知明渡邉 明岩瀬 直樹猪野 照夫窪田 佳寛寺田 信幸斉藤 小夏菅原 絹枝藤澤 政紀
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2014 年 21 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

我々は,これまでに携帯型筋電計バイオフィードバック装置の開発,その有用性を報告してきた.しかしながら,携帯型筋電計は日中の測定を対象としており,小型化を優先して開発されたことから,サンプリングレートが4Hz~64Hzとなっている.そのため,持続時間の短い筋電図波形の測定に対しては信頼性を検証する必要がある.本研究では,携帯型筋電計で測定した筋電図の検出能を検証することを目的とし,夜間にポリソムノグラム(PSG)との同時測定を行い,サンプリングレートの違いがブラキシズムイベントの検出に及ぼす影響について検討した.夜間の歯ぎしりを指摘されたことのある成人男性3名(平均年齢22.7±0.6歳)を被験者とし,夜間睡眠時の筋電図波形から得られたブラキシズムイベントを,Phasic型,Tonic型,Mixed型に分類し,それぞれのイベント数を算出した.その後,PSGから得られたイベント数を基準として携帯型筋電計から得られたイベント数の検出率を求めた.Tonic型のイベント数は携帯型筋電計とポリソムノグラムの両者ともほぼ同様の値を示しており,検出率は94.1%であった.一方,Phasic型と Mixed型のイベント数における検出率は80.0%と83.3%であった.以上の結果から,サンプリングレートの違いはTonic型イベントの検出には大きく影響しないことが示された.

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© 2014 日本顎口腔機能学会
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