2026 年 32 巻 1 号 p. 21-24
顎口腔機能における感覚要素と運動要素の関連性を考慮すると,歯の咬合接触感覚により顎運動が制御されたり,上下の歯のかみしめにより歯根膜感覚が変化したりすることが観察される.このように,感覚と運動は密接に関連しているだけでなく,感覚も顎口腔機能の一つであることが理解でき,顎口腔機能研究において感覚の働きを解明することは大切である.顎口腔機能感覚の主なものとしては特殊感覚である味覚,皮膚感覚である触(圧)覚・痛覚・温覚・冷覚,深部感覚である筋感覚,のどの渇きなどに関する臓器感覚などがあげられる.感覚に関する研究方法として,ヒトを対象とした研究では,種々の刺激(味刺激,機械刺激,温度刺激など)を加え,被験者がどのような感覚を,どれくらい感じたのかを調査する方法や刺激後の神経活動を脳波,脳血流,functional MRI,脳磁図などで調査する方法などがある.動物を対象とした研究では,種々の刺激を加えた後の動物の行動を調査する方法や感覚神経の活動を電気生理学的・生化学的に解析する方法などがある.いずれの研究にも長所と短所が存在するため,それらをよく理解する必要がある.