2026 年 33 巻 1 号 p. 36-37
Ⅰ.目 的
摂食嚥下障害は高齢者に多くみられ,運動機能の障害によって栄養状態や全身の健康に影響を及ぼす.咀嚼・嚥下に関わる口腔機能の維持・回復は,QOLの向上と健康寿命の延伸に直結する補綴治療のセカンダリーエンドポイントである.一般に,摂食嚥下は複数の器官が協調して働く複雑なプロセスであり,従来は食塊の通過経路に基づき4相に分類され,嚥下造影検査(VFSS)や内視鏡,筋電図,動画MRI(cine-MRI)など多様な方法で検討されてきた.これらの方法は,それぞれ得意とする観察対象がある一方で,軟口蓋や喉頭蓋など軟部組織の三次元的挙動を詳細に捉えることは困難であった.本研究の目的は,320列4D-CT情報を用いた新規解析法により,嚥下過程に関与する顎口腔器官の三次元的な運動様相を可視化し,その嚥下様相を検討することにある.