日本顎口腔機能学会雑誌
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歯科心身症の臨床
―器質的所見に乏しい患者をどうみるか―
黒木 俊秀
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2004 年 11 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
歯科心身症という用語は, 医学的には説明のつかない器質的な所見を欠く様々な口腔周辺の症状を意味している.それらの症状の多くは, うつ病, 不安障害や身体表現性障害などの精神疾患の身体化症状と深く関連している可能性があるが, 歯科心身症の患者には過剰で不適切な治療が行われやすい.とくに口腔内の奇妙で不愉快な知覚異常であるセネストパチーは, 難治性慢性的な症候群であり, 統合失調症や老年痴呆を含む精神病性障害の幻覚症状に基づくものと考えられる.歯科医師は, 口腔領域の身体化症状を認識し, 器質的所見を欠く患者には歯科治療のリスクと精神科医へのコンサルテーションについてインフォームド・コンセントを考慮する必要がある.
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