2006 年 13 巻 1 号 p. 31-37
本研究は咬合接触関係と主機能部位の関係を調べたものである.18側の臼歯部歯列を被験側とした.被験者に噛みやすい部位でのストッピングの1回の噛みしめを行わせ, これを各側について5回行った.ストッピングの噛みしめが集中する部位を主機能部位とした.被験側を5回一致群と4回以下一致群に分けた.両群の咬合接触面積を調べ, その違いを定量的に, 定性的に分析したところ, 以下のような結果を得た.
1.主機能部位は上下顎第一大臼歯の機能咬頭間に多く位置していた.
2.主機能部位内にある咬合接触面積が片側臼歯部全体の咬合接触面積に占める比率Rの平均値は5回一致群で32.6%, 4回以下一致群で16.5%であった.
3.主機能部位の要件として, 咬合接触点の位置, すなわち咬合力を歯の長軸方向へ導き, 機能力による歯の変位方向が生理的方向となるような咬合接触点の位置が重要な要素であることが示唆された.