日本顎口腔機能学会雑誌
Online ISSN : 1883-986X
Print ISSN : 1340-9085
ISSN-L : 1340-9085
実験的顎関節痛発症の神経機構
岩田 幸一加茂 博士
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 13 巻 2 号 p. 87-92

詳細
抄録
顎関節に炎症が惹き起こされると, 炎症組織を支配するC線維やAδ神経線維に異常興奮が惹き起こされ, 末梢神経の感作が誘導される.このような炎症による三叉神経あるいは三叉神経節細胞の活動性の増強が長期間続くと中枢神経系活動の変調が誘導される.これら, 末梢および中枢神経系の活動性変化が顎関節痛の原因となると考えられている.
これまで, 顎関節炎により誘導される末梢神経系および中枢神経系における侵害受容ニューロン感作の神経機構を解明するため, 顎関節炎モデルラットを用いた多くの研究がなされている.我々も, 同様のモデルラットを用いて, この神経機構の解明を行ってきた.起炎物質であるCFAを顎関節腔に注入後3日を経過すると, 三叉神経脊髄路核尾側亜核 (Vc) ニューロン活動は著しく増加する.これは顎関節の急性炎症によってVcニューロンが感作された可能性を示すものであると考えられる.さらに, 顎関節部の炎症が慢性期に入ると, 受動的な顎運動刺激によりVcニューロンにおけるextra cellular signal-regulated kinase (ERK) のリン酸化が進む.これは, 細胞内情報伝達において, MAP kinase系の一つであるERK系のリン酸化が, 慢性顎関節炎における異常疼痛発症に対し重要な働きを有する可能性を示したものであると考えられる.
著者関連情報
© 日本顎口腔機能学会
次の記事
feedback
Top