抄録
本研究は, bruxismと睡眠状態との関係を迅速かつ容易に分析する目的で, bruxismと脳波的睡眠段階との関係を検索する夜間睡眠中の生体現象分析システムの開発を試みた.無線テレメータシステム (WEE-6112, WEB-5000, 日本光電) を用いて, 夜間睡眠中の脳電図, 眼球運動図, 心電図, 咬筋筋電図, オトガイ筋筋電図, 呼吸運動図 (鼻部, 胸部, 腹部) を終夜同時記録後, 睡眠脳波解析装置 (DEE-1100, 日本光電) を用いて, 終夜の脳波的睡眠段階を30秒毎に判定, 分類した.咬筋筋活動は, 咬筋中央部より導出し, 睡眠直前に記録した嚥下時よりも大きいburst, またburstとburstとの間隔が5秒未満で発現あるいは5秒以上持続したburst群をそれぞれbruxismとして計測した.次いで夜間睡眠中における30秒毎の脳波的睡眠段階とbruxismの発現とをデータ入力して作成したプログラムにより, 夜間睡眠中の脳波的睡眠段階の経過図とbruxismの発現の重ね合せ表示をしてbruxismの発現により睡眠が移行している様相や浅化している様相を視覚的に観察し, またbruxismの発現に伴う睡眠段階の変化, bruxismの発現数と発現頻度などを定量的に評価するシステムを開発することができた.