2024 年 39 巻 p. 79-94
本研究の目的は、日常に潜む現代的な差別であるマイクロアグレッション(microaggressions)の日本社会における実態の一端を明らかにすることにある。特に在日コリアンを対象とし、政治的状況、歴史的背景、構造的な差別がどのようにして日常的で一見些細なやりとりとして現出するか、それに対して当事者は日々どのような対応を迫られているのかについてグループインタビュー法を用いて調査した。本調査から、日本社会においてもマイクロアグレッションの3類型が存在することが確認された。そして、偏見や差別といった社会的問題がいかに個人化され、“心理的”苦悩の問題に回収されていくかがマイクロアグレッションというフレームを通して見えてきた。本研究はマイクロアグレッションに関する初期的な調査だが、本概念を通してマクロな状況を日常レベルで捉え直し、政策や対人援助の現場で活かしていくことの重要性を問うている。