抄録
フェリックス・ガタリのメタモデルという概念について取り上げる。 ガタリの後期思想は四つの機能素(流れ F、領⼟ T、⾨Φ、宇宙 U)を中⼼に構成される。これらの機能素は⾮常に複雑で難解である。まず四機能素がどのように捉えられたのか先⾏研究を概観する。 続いて、 ガタリの思想に影響を及ぼした、 ⾔語学者ルイ・ イェルムスレウの受容について検討する。従来の研究においては、イェルムスレウの表現と内容の相互反転について着⽬されてきた。本稿においては、イェルムスレウの⾔語素論における「メタ化」に着⽬する。続いて、ガタリの四機能素の全体の構成において複数の表現と内容の⽔準を整理する。 四機能素はある表現と内容の⽔準が別の⽔準へと移⾏するメタモデルとして構成されている。メタモデルは内容を多価化することを明らかにする。