2002 年 27 巻 86 号 p. 11-19
潜熱蓄熱材(Phase Change Materials:PCM)を壁材として適用した場合の種々の熱的効果を予測するためには、PCMの融解・凝固計算モデルを組み込んだ熱気流環境解析コードが有力なツールとなる。本報では、まずPCMの融解・凝固を取り扱うための数値モデルを構築し,1次元凝固問題における解析解との比較、及び2次元凝固問題における既存の数値解析結果との比較から、PCM数値モデルの検証を行い、本計算モデルの妥当性を確認した。本研究のPCM数値モデルでは、PCM液相の対流は考慮せず、固相率を用いた等価比熱法に類似した手法を採用した。次に,標準住宅モデルにPCM壁ボードを適用した場合の熱的性能について熱気流解析コードを用いた試算を行い、通常の石こうボードとの比較検討を行った。