温度成層型蓄熱槽は,蓄熱性能は高いがある程度の水深が必要とされてきたために大規模建築物を除いて採用される機会が少なかった。近年,並列連結式とすることで,地下二重スラブ空間を利用した多槽並列式温度成層型蓄熱槽が試みられるようになったが,並列連結した場合の蓄熱量のアンバランスが問題となっている。本研究では,この問題を解消するために,流入・流出流速がバランスするように工夫した流入口・流出口を開発する一方で,ある程度のアンバランスであれば槽隔壁に適切な連通口を設けることでアンバランスが解消され,良好な温度成層を形成できることを実験的に明らかにし,実際の建物に適用した結果も併せて報告する。