2002 年 27 巻 86 号 p. 59-66
本論文は,地下熱を利用した暖冷房システムにおける経済面の改善をめざして,非開削工法による改良型地中熱交換器の実験とその評価を行ったものである.まず,北海道大学構内に実規模の地中熱交換器を敷設し,安定した暖冷房能力が得られることを示した.次いで,改良型地中熱交換器の数値解析プログラムを作成し,暖冷房運転の計算値と実験値がよく一致することを検証した.さらに,従来の垂直型地中熱交換器に対する敷設時のエネルギー消費量の比較を行い,一次エネルギー削減率が78%に達することを明らかにするとともに,建設・運用を考慮した年間一次エネルギー消費量が空気熱源ヒートポンプと比較して29%削減されることを示した.