2009 年 34 巻 145 号 p. 29-34
吹出口や吸込口などの換気・空調用制気口の配置計画が適切になされていない場合、吹出口からの気流が居住域へ分配される前に、吸込口に吸込まれる「ショートサーキット」が形成される場合があり、室内温熱・空気環境の悪化や過剰な換気・空調用エネルギー消費の原因となることが懸念される。このような換気・空調気流のショートサーキットの形成を防ぐためには、吹出口からの気流が直接吸込口へ向かうことの無いように、制気口の配置や吹出気流分布を検討することが重要となる。本研究では、換気・空調気流のショートサーキットを定量的に表す「ショートサーキット率」に着目し、これをCFD解析により算定する方法を示す。また、オフィス空間を対象としたショートサーキット率の算定例から、ショートサーキット率と他の換気効率指標を併用することにより、効率的な換気・空調システムが検討できることを示す。