2016 年 41 巻 230 号 p. 1-8
国立西洋美術館本館は,日本におけるル・コルビュジエ設計の唯一の作品として知られており,「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐」の構成資産のひとつとして世界遺産登録を目指している。そのため,美術館としての機能を維持しつつ,文化財として価値を損なわないよう,コルビュジエの設計理念を尊重し,保存・回復に力点を置いた改修計画の立案が課題である。本研究は,本館における空気調和・換気設備に関して,2009〜2010年に実施した検討をまとめたものである。本報(第2報)では,原設計復元時に計画されていない仕切り壁を撤去した場合のエントランスホールにおける環境予測について,CFD解析結果を示す。