本研究は、予冷再熱に一次エネルギーを使用しないヒートパイプ組込型除湿再熱外気処理空調機を実験実測により評価するものである。前報では、実験室における性能試験から、冷水コイル冷却量の削減効果を評価するとともに、実運用建物の運転実績から除湿再熱サイクルの正常運転していることを確認した。本報では、実運用建物の実測データに基づき、年間のヒートパイプ作動状況及び省エネルギー効果を評価した。これによると、予冷コイルの入口温度が15℃以上においてヒートパイプ作動があるのに対し、空調停止時や暖房運転において作動していないことを確認した。また、ヒートパイプ導入による局部抵抗を考慮した年間空調機負荷は、西系統39.9%、東系統34.4%の削減率で、年間での省エネルギー効果があると判定された。