抄録
日本では、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用が増加している。これまでの研究で、SNSの利用は健康にプラスとマイナスの効果が混在していることがわかっているが、高齢者の健康や幸福におけるSNSの役割についてはあまり知られておらず、高齢化が急速に進む日本では特に重要である。そこで、SNSの利用は高齢者の主観的健康と正の相関があり、社会的孤立やうつ病と負の相関があるという仮説を検証した。対象は、都市近郊のシニアグループに参加する65歳以上の63名。SNSの利用状況や主観的健康度、うつ病(Geriatric Depression Scale-5)、社会的孤立(Lubben Social Network Scale)について自記式質問紙調査を実施した。結果、約半数がSNSを利用しており、後期高齢者グループではSNS利用率が比較的低いことがわかった。年齢、性別、主観的健康状態は、SNSの利用状況と有意に関連していた。SNSの利用頻度は主観的健康と有意な正の相関があったが、うつ病や社会的孤立とは関連がなかった。本研究の対象者は、特定の社会活動においてSNSを利用することで他者とつながりを保つことができたため、主観的健康感が高まったと推察される。本研究の結果は、SNSの利用と健康アウトカムとの間に負の関係があるというこれまでの報告が、高齢者には当てはまらない可能性を示している。したがって、日本の高齢者のSNS利用は、必ずしも健康や社会的孤立の解消に寄与しないが、寄与する可能性は否定できないことが示唆された。