人間環境学研究
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原著
日本における遂行機能障害への介入方法とその効果に関する文献レビュー
岩崎 也生子乾 花里河原 希美藤本 立香鈴木 優喜子人見 太一鈴木 孝治
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2023 年 21 巻 1 号 p. 53-60

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抄録
遂行機能の障害は、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼし目標に向けた行動の不適切さなどを引き起こす。日本においては、頭部外傷後の67.8 %、脳血管疾患後の24.7 %において遂行機能障害を合併する。遂行機能障害に対する介入には、1990年代より問題解決訓練、自己教示法などの訓練方法が示され実施されているものの、本邦で実施され日本語で書かれた研究結果を系統的に整理した研究は見出せず、この現状を世界に発信する意義は大きい。本研究の目的は、本邦で頭部外傷と脳血管疾患を対象として実施された遂行機能障害に対する介入研究について、研究デザイン、対象疾患、評価指標、介入方法とアウトカムを分析することである。医学中央雑誌及びCiNiiを用いて検索し、適格論文を抽出した結果、当該基準を満たした文献は354編中17編であった。研究デザインは、ランダム化比較試験(RCT: Randomized Controlled Trial)0件、前後比較研究2件、事例研究が15件であった。対象年齢は45.30±14.99、対象疾患は、脳血管疾患17名、脳外傷20名であった。評価指標はBADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome)の他、WCST(Wisconsin Card Sorting Test)、Stroop検査など複数の神経心理学的検査の他行動指標を組み合わせて用いられていた。介入方法は、問題解決法が7編と最も多く、次に、自己教示法5編の他、環境調整や机上課題、ADL、IADL、就労場面での介入と続き、全ての症例に神経心理学的所見や行動指標で改善が見られていた。各事例に対して体系化された介入ストラテジーを応用し、効果ある介入が実施されていたことから、今後、本邦における遂行機能障害に対するリハビリテーションにおいては、推奨されているストラテジーを普及していくと共に、RCTを用いた研究デザインを用いたエビデンスの構築が必要であることが示唆された。
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© 2023 人間環境学研究会

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