人間環境学研究
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当院回復期リハビリテーション病棟における重症患者の除外基準に関する指標及びカットオフ値の検討
人見 太一古谷 祥宏池田 健祐関川 陽平
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2023 年 21 巻 2 号 p. 107-112

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抄録
回復期リハビリテーション病棟Ⅰを有する施設は、効果に係る実績として入院患者の実績指数を40以上にすることが求められている。一方,重症患者など月間入院患者数の3割以下の患者を、その計算対象から除外する基準が設けられており、予め除外する患者を選定する方法がある。近年、退院時FIMの予測モデルをはじめとして、さまざまな検証がなされているが、重症患者の実績指数を予測する研究はこれまで行われていない。今後当院が重症患者を受け入れる役割を担っていくにあたって、重症患者をアプローチしていくための当院独自の基準について検討することは重要であり、臨床的な意義は大きい。そこで本研究は、後ろ向き研究として、適切な除外選定と重症患者の予後予測を可能にするためのツールを作成することとした。本研究の対象は、当院に入院した脳血管疾患患者417 人の患者であった。アウトカム指標は、実績指数が従属変数、年齢、性別、脳血管疾患、入院時BMI、入院時運動FIM、入院時認知FIM、看護必要度B項目の 7 項目が独立変数であった。これらのデータに対して、重回帰分析によって得られた影響度の高い独立変数と、実績指数40前後から成る二分変数を用いて、ROC解析を行った。分析の結果、最も影響力のある独立変数は看護必要度B項目であり、カットオフ値は10、AUCは0.85であった。看護必要度B項目は、FIMよりも採点項目や測定の負担が少ないため、多職種の情報共有ツールとして有意義な指標である。本研究で得られたカットオフ値は、高い識別精度を示したことから、今後当院のリハビリテーションゴール設定に一定の貢献をもたらすことが期待される。
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© 2023 人間環境学研究会

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