2018 年 2018 巻 65 号 p. 70-73
神奈川県で2015年に採集されたミカンキイロアザミウマ個体群および茨城県で2017年に採集された同個体群のトマトへの寄生性,ならびにトマト黄化えそウイルス(TSWV)およびキク茎えそウイルス(CSNV)の媒介効率について,累代飼育系統(宮城個体群,1998年採集)と比較した。ケージ内に設置されたトマト苗に株あたり20頭(雌雄同数)のミカンキイロアザミウマを放飼し,3日後の成虫数と7日後の幼虫数および食害痕数を調べたところ,近年採集した個体群は累代飼育系統に比べていずれも有意に多かった。一方,ペチュニアリーフディスク試験によって調べたこれら3個体群のTSWVおよびCSNVの媒介効率は,いずれも50%程度の高い値を示し,個体群間および雌雄間の違いは観察されなかった。以上のことは,これら関東地域のトマト生産現場において,本種の食害およびウイルス感染被害が今後拡大する可能性があることを示唆している。