抄録
介護予防方法の1つとして、eスポーツが注目されている。eスポーツによる認知機能の改善効果が報告されてきているが、高齢者のメンタルヘルスに与える影響についての報告はない。また、eスポーツを介護予防として導入するにあたり、オーバーユースの問題や、やり方がわからない、継続できないなどの問題が生じている。そこで、本学では、eスポーツを使用した介護予防プログラムを作成し活動を行っている。このプログラムは、学生との交流を主体に行っているためメンタルヘルスに良い影響を与えることが予想される。本研究の目的はeスポーツを使用した介護予防プログラムが高齢者のメンタルヘルスに与える影響を検証することである。対象は地域在住高齢者25名。対象者に対し、eスポーツを含む介護予防プログラムを実施した。その前後で、唾液アミラーゼ濃度、アンケート調査を実施し高齢者のメンタルヘルスに与える影響を検証した。その結果、プログラムの前後で唾液アミラーゼ濃度が減少しており、本プログラムは高齢者に快刺激を与えストレスを軽減させている可能性を明らかにした。今回の結果はプログラム全体を通しての効果であり、eスポーツ体験のみの効果は検証できていない。しかし、eスポーツを使用することで高齢者と学生の交流を促進することができたのではないかと考えられた。