日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
舌ブラシ使用法に関する研究 : 舌の染色が舌ブラシ圧に及ぼす影響について
堀田 正人長井 康平今出 昌一佐野 晃山本 宏治
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 50 巻 3 号 p. 332-337

詳細
抄録

舌苔が口臭を引き起こす原因であることはよく知られており,剥離上皮,白血球,微生物などの付着停滞が生じて舌苔となると考えられている.したがって,舌苔の機械的除去が生理的口臭の治療として使用されており,適切な舌ブラシ使用(清掃)方法の指導をしなければならない.そこで,本研究では市販のデンタルプロ®舌ブラシ(用毛の太さ:2.5mil)と試作舌ブラシ(用毛の太さ:4milと6mil)を用い,33名の被験者について舌ブラシ圧に注目し,染色した舌の舌ブラシ圧について検討を行った.得られたデータは一元配置分散分析(ANOVA)とScheffeの多重比較検定および対応のあるt検定を行った.その結果,用毛の大さが2.5,4,6milの各舌ブラシ圧はそれぞれ61.3±39.7g,56.8±50.0g,49.3±20.7gで,用毛の太さが大きいほど小さい舌ブラシ圧を示す傾向にあったが,統計学的に有意差は認められなかった.また,染色した舌と染色しなかった舌での舌ブラシ圧はそれぞれ88.8±59.2g,56.7±43.6gとなり,染色した舌における舌ブラシ圧は有意に大きい値を示した.このことから,舌苔が著明に認められる場合の舌ブラシ圧は大きくなることが予想された.

著者関連情報
© 2007 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top