日本歯科保存学雑誌
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原著
根管内吸引を用いた根管洗浄法 : 2.新しい吸引針の開発
福元 康恵古畑 和人吉岡 隆知須田 英明
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2007 年 50 巻 4 号 p. 479-485

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抄録

著者らは,根管内吸引を用いた新しい根管洗浄法(Intracanal Aspiration Technique, IAT)を開発した.これは,根尖付近まで挿入した吸引針先端から洗浄液を吸引する方法である.以前の報告では24Gニードルを吸引針として用いたため,太く形成された根管でないとIATを用いることはできなかった.本研究では,細い根管においてIATを可能にする新たな形態の吸引針の開発を目的とした.実験1では,新たに開発した2種類の先端太さ27Gのニードルを用いた.Type1および2の基部太さはそれぞれ21Gおよび23Gである.抜去歯21本の根管をMAF #35に形成し,3群に分けた(第1〜3群,n=7).それ以外に,7本(第4群)の抜去歯根管はMAF #50に形成した.歯根をプラスチックケースに植立し,う蝕検知液で着色した寒天生理食塩液をプラスチックケース内の歯根周囲に流し込んだ.第1,2および4群は,それぞれType1,2および24Gニードルを吸引針として用い,IATにて根管洗浄した.吸引針にはルートZX™®ファイルホルダーを装着して,その先端の位置は根尖から2mmとした.第3群は従来法で根管洗浄を行った.各根管は14% EDTA溶液9mlで3分間,次いで,6% NaClO 6mlで2分間洗浄した.根管洗浄中のルートZX™®メーター値を測定し,洗浄後に根尖周囲の寒天変色面積を測定した.実験2では,さまざまな試作ニードル,24Gニードルおよび27Gブラント針の単位時間当たりの精製水吸引量を測定した.実験1の結果,第1,2および4群ではルートZM™®メーター値は根尖指示値付近を示し,第3群に対して有意差を示した(p<0.05).また,第1,2および4群の寒天変色面積は,第3群に対して有意に小さい値を示した(p<0.05).実験2の結果,23Gの基部32.5mm,27Gの先端部5mmで構成された試作ニードルが最も効率が良いことが明らかとなった.結論として,今回試作した吸引針を用いると,根尖孔径が0.35 mmの根管においても根管内吸引洗浄法が効果的であることが示された.

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