日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
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原著
う蝕除去法の異なる象牙質へのセルフエッチングシステムの接着
西谷 佳浩糸田 俊之星加 知宏高橋 圭田中 久美子森本 紗也子伊澤 俊次山路 公造鳥井 康弘吉山 昌宏
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2011 年 54 巻 4 号 p. 276-288

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抄録

本研究では,3種のセルフエッチング接着システム,G-Bond(ジーシー), One-up Bond F(トクヤマデンタル), Clearfil Mega Bond(クラレメディカル)を用いて,う蝕除去法の違いが象牙質引張接着強さに及ぼす影響について検討を行った.高速回転切削器具,Er:YAGレーザー照射および超音波振動装置によってう蝕を除去した象牙質を用いて,微小引張接着強さの測定ならびに微細構造の走査電子顕微鏡観察を行った.その結果,高速回転切削器具によるう蝕除去で生成されるスミヤー層が,Er:YAGレーザー照射および超音波振動装置の場合には生成されなかった.Clearfil Mega Bondは,Er:YAGレーザー照射によってう蝕を除去した象牙質に比較して,高速回転切削器具および超音波振動装置を用いた場合の象牙質に対して高い接着強さを示した.One-up Bond Fは,超音波振動装置を用いた場合に他の除去法よりも高い接着強さを示した.以上のことから,セルフエッチング接着システムを用いる場合には,超音波振動装置によるう蝕除去法が有用な可能性が示唆された.

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© 2011 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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